どうせ簿記なんか勉強してもAIが全部やってくれるようになるって~
最近ちらと資格の話になり、その際に友人から放たれた一言です。
ふむ。
簿記に将来性はあるのでしょうか。
AI時代とはよく言われますが、簿記の価値が今後どうなるのか、今回は文月(ふみづき)なりの考えをお伝えしたいと思います。
目次
簿記の知識は必要なくなるのか?
結論から申し上げます。
答えはNOです。
私は簿記の知識がAI時代によって不要になるとは考えていません。
その理由として、
- 仕組みの理解は会計に必須
- データを扱うのは人間
- 役立つのは仕事だけじゃない
以上3点があげられます。順に解説しますね。
1.仕組みの理解は会計に必須
領収書の処理、財務諸表の作表などはAIが担うことになると思います。というか、すでになってきています。会計作成ソフト(Moneyforwardやfreeeなど)や経費処理システム(Concurやjinjerなど)は進化し、誰でも簡単に仕訳、計上ができるようになりました。
ですが、簿記の知識なしで完成した数字の表だけポンと渡されて、
「じゃあこれで課題と解決策考えておいて」
と言われたらどうでしょうか?
私だったら、そっと裏返して見なかったことにします。
根本的な仕組みがわかっていないと、なんのことやらわかりませんよね。
そもそも簿記というのはあらゆる業態に通じるビジネスの基礎的な会計知識です。
AIに作業を任せたとて、数字の意味を人間が理解しておくことは今後も必須といえます。
2.データを扱うのは人間
財務諸表の作表まではAIに任せておけますが、その意味を読み解き、次のアクションに繋げることができるのは人間だけです。
今後さらに時代が進み、AIが最適なアクションまで示してくれるようになるのでは!?
と思う方もいるかもしれませんが、現在のAIの定義からはそれは不可能であると言えるようです。
それは、AIはあくまで膨大なデータからの経験学習を得意とするものであり、0から1を生み出すことはできないからです。
つまり、単純作業はAIに取って変わられますが、クリエイティブなアイデアを生み出すことはAIにはできない、ということです。
3.役立つのは仕事だけじゃない
簿記で得た知識は仕事でしか使えないものではありません。
お金とモノの流れを理解することで、商売の本質を学ぶことができ、判断力や数的思考力が高まります。
私自身、収入と支出のバランス感覚が身に付き以前より随分と賢い消費ができるようになったと感じています。
簿記で身についた考え方や数字に対する分析の力は、必ずあなたの生活を豊かにしてくれるはずです。
経理の仕事の将来性
私は本職が営業畑の人間なので経理視点ではあまり深く語ることはできませんが、あえて営業視点で言わせてもらえば経理の方の仕事がなくなることはまずしばらくはないだろうな、と考えています。
確かにAI化により手間は省けると思います。先に述べたように仕訳や作表などの単純作業はすべてコンピューター処理できるでしょう。
ですが、これは形式的な話であって仕事の現場はそう単純ではありません。
6W1H(誰が、誰と、いつ、どこで、何を、何のために、どのように)から文脈を読み取り、「これは必要な経費なのか?」「報告は正しいか?」AIが判断できるようになるのはまだまだ先の話になりそうです。
また、営業の人間からしても直接やりとりできる人間のほうがありがたいです。
日頃から思うことなのですが、特殊なケースが発生したときなどは、botやQ&Aよりもやはり人とのコミュニケーションが圧倒的に効率的です。
私も何度助けられたことか・・・
そういった意味では、これからも簿記の知識を身に付けた経理担当者は重宝されると言えるのではないでしょうか。
資格としての簿記の価値
求人市場での簿記はどの程度武器になるのでしょうか。
試しに、求人サイトindeedで検索してみると・・・
- 簿記3級 雇用形態:正社員 9,436件ヒット
- 簿記2級 雇用形態;正社員 10,961件ヒット
- 簿記1級 雇用形態:正社員 1,522件ヒット
職種としては、3級では幅広く求人情報があり、2級以上では経理・財務関係が多い印象でした。
所有級によって5000円や10000円など、手当がつく企業も多いですね。
人材の採用基準として信頼性の高い簿記取得を推奨している企業の多さがわかりました。
まとめ
今回は簿記の将来性について、AIによる環境の変化も含めて考察してみました。
簿記(経理担当者)における作業の効率化にAIは一役買ってくれるようになりますが、簿記の知識やそれを活用するアイデアが陳腐化することはないと言えるでしょう!
企業の採用基準としてもその信頼性の高さを発揮していましたね。
今後も重宝されるであろう簿記の知識は、身に付けておいて損はないと思います。
これから何か学びたいと考えている方へ、まずは仕事にも私生活にもプラスを与えてくれる簿記を検討してみてはいかがでしょうか。
以上です!
※今回の記事は「AIvs教科書が読めない子供たち(新井紀子 東洋経済新報社)」より、AIができる仕事の範囲について。「世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか?~経営における「アート」と「サイエンス」~(山口周 光文社)」より、経営において意思決定にロジック以外の感覚が必要な時代になってきている理由について。など学びながら書きました!この2冊を読むと、現在の企業が直面している課題や今後のAI時代に人間が備えるべき能力について、考えが深まると思います!すごく面白いですよ!